角材を使って本格的なチェアを作る

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座面と背板に角度を付けることで一歩上の仕上がりに

コーヒーを飲みながらゆったりと読書をする。
そんな時には体をしっかりとあずける事ができるチェアが欲しいものです。

今回は肘置きのある、ゆったりサイズのチェアの作り方を紹介します。
角材を直線的に組んでいるので作りやすく頑丈です。
そしてポイントは合板を使い角度をつけて設置する座面と背板。
有名なレッド&ブルーチェアの構造です。
座面と背板の接地部分の角材位置を任意の設計にする事で、座り心地を自在に調節出来るのもこのチェアの特徴です。
また、角度がつくことで見た目も素人っぽくない洗練された雰囲気をDIYで作ることができます。

今回は座面と背板にマットを使った自作クッションを貼り付けましたが、市販の好みのクッションを置くだけでも色々な個性を出せ、完成度がぐっと増しますのでおすすめです。

なお、今回のチェアはスツールの応用編でもあります。
初めてDIYに挑戦する方は、まずはスツールから作ってみることをおすすめします。

さぁ、それでは作っていきましょう!

図面はこちらからダウンロードできます
↓↓↓

製作の流れを確認できる動画はこちら
↓↓↓

道具・材料

  • 電動ドライバー(ドリルビット、下穴用ドリルビット)
  • ノコギリ
  • 直角定規
  • クランプ
  • ペンチ(金具を曲げる時に使うので2つ)
  • タッカー(座面クッションを作る場合)
  • 40㎜×30㎜の角材
  • 合板(厚み12㎜)※クッションを作る場合は台座に使う分も必要。今回は座面用台座370×370㎜、背板用台座700×370㎜で作りました。
  • ビス(長さ 本体部分 60㎜、肘置き部分30㎜、金具部分15㎜)
  • 金具(Lアングル)
  • マット(座面クッションを作る場合)
  • 座面用の布、又はタオル(座面クッションを作る場合)
  • プラスチック専用接着剤(座面クッションを作る場合)

1 角材を必要な寸法にカット

椅子の枠は40㎜×30㎜の角材を必要な長さにカットして使用します。

必要な寸法に墨線を引いて手ノコで切っていくのもいいですが、全てのカットを正確に加工するのはなかなか難しいものです。
カットに自信のない人は木材購入時に、ホームセンターでカットしてもらうと正確で非常にらくちんです。
座面と背板に使う合板は切断距離が長いのでホームセンターでのカットがいいと思います。合わせて角材も一緒に切ってもらうのもいいでしょう。


自分で完結したい!そして正確に。
という方は「直角に切る治具」の作成をおすすめします。
私は治具でカットしました。

治具が気になる方は作成解説動画を確認してください
↓↓↓
のこぎりで直角に切る治具を自作しよう。木工DIYにあれば超便利です

必要な寸法に切れました。

2 接合場所に墨線を引く→ビスの下穴開け

墨付け

木材を必要な長さにカットできたら、枠に使用する角材に墨線をひきます。
この墨線は角材の接合部分が分かるようにするためです。

墨線を引くには図面を確認しながらどこに接合部分が来るのかを考えます。
この時、図面に自分が分かりやすいように寸法や注意点など書き込むのもおすすめです。
初めのうちは図面から接合部分を読み取るのに苦労するかもしれませんが、落ち着いて図面を確認しましょう。
コツとしては図面をそれぞれのパーツに分けて考えてみることです。

どことどこが繋がるのかをパーツ別に考えて読み取る


組み立てていく順番をイメージして、パーツの接合場所を考えていきます。
(組立の順番は動画を確認すると分かりやすいと思います。)
パーツ同士を繋げる部分を図面で確認しながら寸法位置に墨線を引きます。
墨線が引けたらそれぞれの部材を並べて、問題なく組めるかを確認しておきましょう。

下穴開け

角材の接合にはビスを使いますが、木材にそのままビスを打つと割れたりビスが途中で入らなくなってしまうことがあります。その為下穴は必ず必要になります。

墨線を付けた接合部分に下穴を開けますが、同じ位置に下穴を開ける場合は「位置決めの為の治具」を作ります。
治具と言っても非常に簡単なもので、型紙や段ボールの切れ端で作ります。
30㎜の幅にカットし、端から40㎜に線をひきます。そしてビスを打つ位置に穴を開けます。
穴の位置は2か所で30㎜のセンター(15㎜)に外側から10㎜ずつ中央に入った位置でOKです。

30㎜幅の縦方向に使う場合


これを部材の接合場所に当ててキリや千枚通しで印を付けます。

40㎜幅の横方向にも使える

目印が付きました

部材全てに印が付いたら下穴ビットを使って下穴を開けていきます。
下穴を開ける時はドリルビットが垂直になっているかを慎重に確認しながら開けましょう。
正面と横の2方向から確認しながらゆっくりと開けます。


それでも垂直に開けるのは難しいものです。あまり大きく傾いて穴が開くとビスが横から飛び出すことがありますが、少しくらい穴が斜めになっても問題ありません。
穴開け時の自分の癖などを確認し、少しずつ修正しながら加工することで上達していくので大丈夫。

3 枠の組立て

枠はパーツごとに組立てていきます。

始めは左右の枠を組んでいきます。
位置を確認して仮置きします。

部材の間違いがないか確認し、問題なければ接着剤を塗って下穴をあけビスで止めていきます。
クランプで部材同士を固定し、先にあけておいた下穴から接続する木材の木口面へ下穴をあけます。
この時、部材同士が直角に配置できているかを直角定規で確認しておきましょう。

直角定規やスコヤを使って直角を確認


先にあけた下穴をガイドにして接続する木材へも下穴をあける

ビスで固定していきます。
ビス固定の順番は自分が止めやすい順番で問題ないですが、今回は画像の番号順で止めていきました。

4か所をビスで止めると片側のパーツが出来るので、同様の手順で反対側のパーツも組立てます。

左右のパーツができました

次は左右を繋ぐ4本の横方向の角材を片側から取り付けていきます。
(画像 赤で表示した部材です)

作業台にパーツと部材をクランプで固定しながらビス止めしていきます。

片側が付いたら次は反対のパーツも取り付けます。

最後に背板の下側を固定する角材を取り付けます。
接着剤を付けてクランプで挟んで乾いたらクランプを外し、その後下からビスで止めます。
この部材は、こうするとビス止めがやりやすいです。

接着剤で先に固定する

枠ができました。

ここで角材の面取りをしておきます。
面取りは角材の角を触っても痛くない程度にサンドペーパーで削っていく。
木材の表面が毛羽立っている場合もサンドペーパーでならしておきましょう。

4 肘置き・座面・背板の加工

肘置き・座面・背板をそれぞれ加工していきます。

肘置きは野地板と言われるホームセンターに売っている杉板を使用します。

細い幅へのカットはホームセンターの機械ではできないので手ノコで慎重に切っていきます。

まずは必要な寸法に長さをカットしてから必要な幅に切っていきます。

墨線を引いてから、縦切り用のノコ刃でゆっくり切っていきます。距離が長いので少し大変ですが頑張りましょう。

それぞれの部材の角を丸く加工します。どれくらい丸くするかは好みですが、今回は半径7.5㎜のアールで加工しています。

下書きはキャップのフタなど丸いものを使ってもいい

角をノコギリで斜めに切ってからサンドペーパーで丸く削ります。
また、辺の面取りもこの時に一緒に削って肌当たりを良くしておきましょう。


注意点はすべての角を丸くしないようにする事。画像の〇部分は接合部分となるので加工はしません。

5 着色 

色を付ける場合は着色をしておきます。今回は100円ショップの水性ニスを使ってみました。水性は臭いがそれほどしないのでおすすめです。

6 肘置きの取付

肘置きの固定はビスを使いますが、もちろんの事、肘置きは自分が座っているときに手を置くことになります。すりすりと木の質感を感じたい時にビスの頭があるのは少々心外であります。という訳で今回は木栓を使ってビス頭を隠しましょう。(この辺りはもちろんお好みです。)

木栓用の穴を開ける時は、マスキングテープを貼ってから開けると穴の淵が裂けにくくきれいに開けれます。


穴の径はビスの頭より大きければいいのですが、木栓に市販の木ダボを使用する場合は8㎜の径で開けておきましょう。

部材が薄いので深く削りすぎてしまうと貫通してしまいます。
ここは一番の注意ポイントです。
全集中にて神経を研ぎ澄まし、部材の1/3程度の深さに穴を開けます。

ダボ穴が開いたら接着剤を塗って枠にクランプで固定し、下穴を開けてビスで固定します。

打ち込みやすいように木栓の淵の角を削っておきましょう。木ダボを使う場合はすでに面取りされているので削る必要はありません。

接着剤を付けて木栓を打ち込んで、ノコギリで余分な部分をカット。
この時、木栓の木目の模様を肘置きの木目の方向に合わせてやると仕上がりが自然で綺麗に仕上がります。


この時使うノコギリは「アサリなし」というノコギリを使用します。アサリがあると刃が左右に振られているため、肘置きの表面を傷つけてるので注意。
(アサリなしのノコギリが無い場合は、ノコギリの下に少し厚めの台紙を敷いてやると傷がつきません。)


接着剤が乾いたら、木栓の表面をサンドペーパーで削ってきれいにしておきます。

木栓の木目方向が同じになるようにすると自然な仕上がりになる

7 クッションの作成・取付

合板の座面と背板は、そのままでも座れないことはないのですが、長時間座る場合はさすがにちょっとお尻が痛くなりそうです。

市販のクッションを座面に敷いたり、背板には上から吊り下げるように垂らす方法も簡単でおすすめですが今回は思い切って自作してみました。
椅子のクッション貼りは自己流ですが、使用に問題のない程度には作れましたので参考にしていただければと思います。

お尻と背中部分に四角のクッションを貼り付けます。
クッションサイズの合板に100円ショップのジョイントマットを貼り付けて、タオル生地をかぶせるというシンプルなもの。
使われる素材は違いますが、市販の椅子もこのような構造で作ってあるものが多いのです。

今回、9枚セットで余るくらいでした

まずは寸法にカットしたクッション台座の合板に合うようにマットをカッターで切ります。
必要な大きさになるようにジョイントして型を写してからカットします。

カットしたマットをプラスチック専用の接着剤(ダイソーのものを使用)で貼り付けます。

クッション側と合板側の両方に塗り広げて乾いてからお互いを貼り合せます。
(この接着剤のにおいはちょっとキツいので換気しながら行いましょう)

乾いてから貼り合せる

同様に背板のクッションも作っておきましょう。

次にカバーとなるタオル生地をクッションのサイズより縦横10cm程度大きめにカットして、覆うようにかぶせてから裏返します。

まずはしわが出来ないように一辺をタッカーで止めます。
タッカーの打つ感覚は2cmくらいにしています。

次に前後を入れ替え、反対側の一辺を少し引っ張りながら止めていきます。
しわが出来ていないか、裏側を確認しながら行いましょう。
あまり強く引っ張りすぎると生地が斜めになることがあるので注意してください。

残りの2辺も同じようにタッカーで止めていき、4辺全て止め終われば余った生地をカットします。
タッカーのステープルから1㎝ほど生地を残してカットします。

クッションが出来れば座面と背板に裏側からビスで固定します。ビスは座面に4か所、背板に6カ所打ちます。

座面のセンターに来るように配置して、ずれないようにひっくり返してビスで止めます。

ビス止めだけなので、使用していくうち生地が破れたり汚れた場合に張り替える事ができます。

座面は4か所ビスで止める

座面と背板のクッションが取り付けできました。

8 座面・背板の取付 オイル塗装

座面と背板はLアングルを使って枠に取り付けます。

座面の金具位置
↓↓↓

背板金具位置
↓↓↓

まずは座面と背板の位置を仮置きして確認します。
位置を確認したら、背板からクランプで止めて固定します。


次にLアングルを設置場所に合わせて、角度を確認しながら曲げていきます。ペンチを使って少しずつ調整しましょう。

金具の角度が決まればビスを使って枠と背板にそれぞれビスで固定していきます。

次に座面の位置を確認してクランプで固定します。角度を合わせたLアングルで固定します。
この時、枠は横に倒してビス止めすると作業がしやすいです。

座面と背板の取付ができました。

最後にオイルを塗って完成です。今回は植物油の亜麻仁油を使いました。

やりました!完成です。


まとめ・製作のポイント

今回は角材で作る本格的なチェアをご紹介しました。

角材は40㎜×30㎜のホームセンターによくある規格を使用しましたが、30㎜×30㎜のような正方形の規格でも問題ありません。(正方形のほうが向きを気にせずに設計できます)身近にある角材を使って作るのもいいと思います。

作る時のポイント

・少々サイズが大きめなので、枠の組立の際に角材同士をクランプでうまく固定できるように工夫すると組立て作業がしやすい。時には作業台が狭くなる場合もあると思うので、床に置いて作業するなど試してみましょう。

・座面と背板の固定用金具は角度を決めるのが少し難しいかもしれませんが、少しずつ調整して現物の角度に合わせましょう。
金具にはそれほど荷重が掛かることはないので、ビス止めできる穴があれば強度はそれほど気にしなくても大丈夫かと思います。

・座面と背板の取り付けは、椅子の枠を倒したりして取付しやすい位置で行いましょう。
安定してビス止めするために、枠に上手くクランプで固定できる場所を探すのがコツです。色々な角度で挟んでみていいところを見つけましょう。

安楽椅子やベンチへの応用も出来る

このチェアーは座面と背板の角度を変えて作ることで、例えば下のように背もたれを大きく傾けて休息度の高い安楽椅子にすることも可能です。(置き場所のスペースはとりますが・・)

また、横幅を広くすることで二人掛けなどベンチタイプにすることもできます。

使う環境や用途を考えて自分好みのチェアを作るのも楽しいと思います。
スツールに比べると作る難易度は上がりますが、構造はシンプルなので一つ一つの工程を落ち着いて進めましょう。

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