木工DIYで家具を作る時の設計方法は?初心者が知っておくべき基本構造は1つでOK

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・DIYで家具を設計して作ろうと思ったけど、構造が分からない。

・調べても色々な作り方があって、どの設計方法を選べばいいのか分からない。

・使ううちに壊れないか強度が心配。強度を確保する方法は?

家具には多くの種類があって構造や作り方も様々です。
家具を作ろうと思った時、どのように設計を考えればいいのか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。


構造の基本が分からない状態で家具を作ってしまうと、高い確率で「完成まで至らない」「使ってみると強度不足で壊れる」といった問題が発生します。(私がそうでした・・)

初心者の時にこのような苦い経験もありましたが、その後家具製作の基本を勉強して多くの家具を設計して作ってきました。
その過程で分かった実に当たり前のことは、壊れないように作る為のシンプルな構造を理解することでした。

この記事では、初心者でも分かりやすい基本設計を解説します。
基本の構造を覚えると下のような色々な家具に流用できます。

・スツール 椅子
・テーブル デスク 座卓
・棚


基本構造を覚える事で、設計方法に迷わず自分の作りたい家具を考えられるようになります。

内容はシンプルですのでご安心ください。
それでは確認していきましょう。

骨組みを作って板を置く

ほとんどの家具は使う時に仕事をしてくれている場所は板の部分です。
テーブルや机なら天板でご飯を食べて勉強します。椅子なら座面に座りますし、収納棚も棚板の上にものを乗せて使います。引き出しも底板の上にものを置いています。

この仕事をしてくれる板をどのように設置するかが家具の設計となります。

家具のデザインや設計は基本的に自由であって良いのですが、今回紹介する構造は作りやすく最小限の材料で、強度を出す、ということを前提に設計しています。

それが骨組みを作って板を置くという構造です。

これは私が作るほとんどの家具の構造で、多くの家具がこの構造で作れます。

文字で説明すると当たり前のようなことですが、このことを認識する事で構造をイメージしやすくなります。

実は身の回りの家具にもこの構造が多く使われています。
机や椅子なども基本構造は柱となる骨組みに板を置いて作っています。

初心者の場合、まずはこの構造を覚えて理解しておくだけで十分です。


この構造を応用すれば、「図面作りがさっぱり進まない」ということは無くなるかと思います。

家具の使用目的によって補強場所を決める


骨組みの形は家具によってある程度基本が決まっています。
もちろん独創的な形状も自由に作れますが、シンプルに設計する場合はだいたい決まってきます。

例えばテーブルを作る場合、4本の脚に天板となる板を載せてビス止めすれば、とりあえずテーブルの形になります。

テーブルビス止めのみ
脚をビスで止めただけ


しかしこの構造では天板の上に腕を置いて体重をかけた場合、横方向に傾いて脚の付け根に全ての力が集中します。
するとビス止めした脚の根本が割れて、机はぐしゃっと崩れてしまいます。
アツアツのおでんなんか食べていたらエライことです。

そこで例として図のような補強が必要となります。

テーブル角材2本の補強

上段の補強は脚の固定と天板の固定を兼ねています。
これだけでは脚が長いテーブルでは不十分なので下段にもう一つ補強をつけます。
下段の補強は床に近いほど強いですが、テーブルの場合は椅子で座る時に身体が当たらない膝から上にします。



2段の補強を一枚の板材で作ることで効率よく作ることも可能です。

テーブル幕板で補強
板材の補強(幕板)

角材や板で骨組みを作り、その骨組み同士を補強材で繋いでいくというイメージです。
補強は上や横から、または斜めから掛かる力を分散する役目もあります。


家具によって使用時の力の掛かり方は違ってきます。
椅子なら人の座る重さであり、机なら天板に掛かる重さを考え補強の量を調節します。
家具の弱いところを補強してあげることが大切です。

そのような補強を使用目的に合わせて設置していきます。
ここで大切なのは使う時に邪魔にならない場所に設置すること。

ちょっと難しく思うかもしれませんが、このポイントを抑えておけば後は自由に設計しても大丈夫です。

・弱いところを補強するように設置する

・使う時に邪魔にならない場所に設置する


補強が多ければ多いほど頑丈になりますが、家具が使いにくくなってはいけません。
補強だらけでゴテゴテの見た目になるのも避けたいところです。

不便の起きないところに適切なだけの補強を入れるように心がけます。

それでは家具別に見てみましょう。
弱いところとはどこでしょうか。

スツール

スツールは最もシンプルな構造のひとつです。
ただスツールの特性上、人が座るたびに荷重がかかるので強度がそれなりに必要です。

スツールは使用時に補強が邪魔になることは少ないので、自由に補強を設置しても問題ないでしょう。

4本の脚に横方向の補強が入ります。
通常のスツールであれば「A」で問題ないと思います。
下にH型に補強が入ることで2方向への脚の広がりを抑えます。

スツールH型の補強
A


更に強度が必要な場合は「B」のように補強を増やしてもOKです。

スツール補強を増やす
B もう一本増やす

足元に空間が必要な場合、「C」のように補強を上部に上げる事で下のスペースが広くなります。(強度はAの方が高い)

スツール補強上部
C


角材が細くなるほど強度が下がるので補強部材を増やす必要があります。


勉強机

勉強机の場合は正面方向から脚を入れます。
その為、脚元の補強位置も足や椅子が入っても邪魔にならないようにする必要があります。

勉強机補強
足が当たらないように少し後方位置

足元に広いスペースが必要な場合は補強を後方に付ける場合もあります。
この場合、前側の左右方向への保持力は弱まりますが勉強机の使用方法では特に問題無いと思います。

勉強机補強後方
収納ボックスなどを足元に置ける

勉強机は引き出しを設置する場合が多いので、骨組みに板材を使って引き出しを設置できるようにする事も多いです。
板材(幕板)に桟を付けたり、スライドレールを設置することで引き出しを取り付けることが出来ます。
幅のある板材を使うことで角材よりも強度が上がります。

勉強机補強幕板


テーブル

食事用のテーブルは高さがあり、天板に重量が掛かることが多いのでしっかりした補強が必要です。
しかし4方向から足の出入りが考えられるので、足元に横方向の補強が入れられません。
このような場合は幅のある板材を上部の補強(幕板)に使用して、更に板材同士を斜めに固定するという方法があります。

テーブル幕板斜め補強
幕板のねじれが起きにくくなる

幕板同士が固定されることでテーブル脚のぐらつきや開きを抑える効果があります。
この方法は勉強机や椅子・スツールなどでもできるので、足元に補強を入れにくい場合は併用する事で強度を確保できます。


座卓

座卓のように背が低い場合、幅のある幕板で補強すると座る時に太ももが当たってしまうことがあります。

座卓脚補強

このようなときは画像のような斜めの補強を脚の左右に付ける方法があります。
この方法ならどの向きからでも座ることが可能になります。

この場合のデメリットは補強が常に見える位置に来るので、目立つということです。
補強の角を丸く加工したり少しアールの付いた形状にするなどして、デザインとして馴染ませてあげると自然に見せる事も可能です。



棚はどのように物を収納したいかを考え、棚板を何枚にするかを決めます。
棚板の数が決まれば、脚の補強を棚位置に設置する。

棚板位置決め
棚板3枚の場合

棚板によって左右の脚を固定します。
画像のようにすのこ状に棚を作れば、幅の狭い板も使える。
合板や一枚の板を使っても問題ありません。

棚板設置
ビスや釘で固定する


これだけでは左右に力が掛かるとゆらゆらと全体が動いてしまう。
揺れを防ぐために背面に補強を入れるとしっかりします。
棚位置に補強を入れることで置いたものが後ろに落ちないように、「受け」としての効果もあります。

棚背面補強
背面 補強を兼ねた受け



背面全面に背板が必要な場合は、合板などをビス止めする事でも強度が確保できます。
市販の量産家具は作りやすさから、合板の背板で固定していることが多いです。

他には筋交いを入れるという方法もあります。
背面に✖の形に補強を入れることで強度が出せる。
重いものを載せる場合にはこの方法が向いています。


まとめ

今回は骨組みに板を置くという設計方法を紹介しました。

補強方法にはたくさんのバリエーションがありますが、基本となる構造はシンプルなのでポイントを抑えて家具の設計をしましょう。

・ほとんどの家具の構造は、骨組みを作って板を付けるという構造になっている。

・家具をどんなふうに使うかを始めにイメージする。

・使い方に応じて必要な強度を考え、邪魔にならないところに補強を設置する。

上記の内容を確認しながら考えると、スムーズに家具設計が進むと思います。

強度に関して明確な基準はありませんが、今回紹介した補強の設置方法を参考にしてもらえれば、作った家具がすぐに壊れるということは無いかと思います。

それでも時には、どうやって作ればいいのか悩んでしまうこともあるかもしれません。
そんな時はあまり型にとらわれず使いやすく壊れにくい、そんな家具をイメージして自由に作ってもいいのではないでしょうか。

失敗したとしても作り続けるうち、きっと自分なりのやり方が見つかってくると思います。


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