木工DIYで作りたいものが決まって作業を始める時、木材を必要な長さに切らなければいけません。
しかしノコギリで切るのは分かっていても実際にどのように切っていいのかよく分からない、まっすぐに切れない、という問題があるかと思います。
という訳で今回は、身につけておくと便利な手ノコでの木材の切り方を説明します。
機械加工が主流の現在、完璧な精度をフリーハンドで出すのは職人でも難しいと思いますが、木工DIYにおいてはそこまでの精度は無くても大丈夫です。
フリーハンドのメリットは治具(加工を補佐する定規)が無い場合や使えないような材に臨機応変に対対応出来る事です。
ある程度の練習は必要になりますが、覚えておいて損はないと思います。
基本の加工は治具を使う、という方もちょっとした時にフリーハンドで切ることは必ず出てくると思いますので、知識だけでも知っておくと便利です。
使う道具
両刃ノコギリ(目の粗い縦挽き刃と、目の細かい横挽き刃が両側に付いたノコギリ)
スコヤ(直角に線を引く事ができる定規)
切る部分で方法が変わる
木材の寸法出しは、切る部分によって加工方法が変わります。
私が行う木工DIYで必要な加工はだいたい以下の3つになります。
- 精度の必要な角材
- 座面などの比較的精度がいらない板材
- 板材の幅を変える(縦方向に切る)
それでは順番に見ていきましょう。
精度の必要な角材(横方向に切る)
精度が必要な場所は、切った断面を接合する部分になります。
ここがガタガタになっていたり斜めになっていると、接合したときに不安定になったりまっすぐ接合できなくなってしまいます。
椅子の枠組みに使う角材や、テーブルの脚などがこれにあたります。
この部材の切り方は墨線を4面にぐるりと引き、1つの面を少しづつ順番に切り込んでいく方法です。
4面の墨線から中心に向かって切り込んでいくので、1面だけの墨線を頼りに切り込んでいくより、はるかに正確に切る事ができます。
墨線の引き方
まずは切る寸法に墨線を引く。
始めに線を書く面を基準となる①とします。
次は角材を奥に90度回転させ①の墨線の端と合わせて墨線を引く。
この時、スコヤは①の面に当てて引きます。
次は2本目に引いた②面の裏側に墨線を引きます。(左右を入れ替えひっくり返す。②面は下になる)
この時もスコヤは①の面に当てて引きます。
最後に残った④面の、②面と③面の墨線に合わせて引きます。
①面を基準として両側の②・③面に墨線を引いていく事で回し込む墨線がズレにくくなります。
ここで線が繋がらないのは、墨線がどこかでズレている事が多いので確認しズレがあれば修正します。
木材自体が歪んでいる時も線が繋がりにくいので、大きく歪んでいる木材は避けるようにしましょう。
切り方
まずは挽きはじめのガイドとなる浅い溝(ひき口)を付けます。
ノコギリは横挽き用の刃を使います。
墨線に親指を当ててそこにノコギリを沿わせて軽く挽きます。
私はスミ線幅の半分を残すようなイメージで位置決めしています。
ひき口が付いたら刃が左右に傾かないように注意して、ノコ刃の中心を使って切ります。
この時、隣りの面の墨線にも注意し墨線を越えて切り込んでいないか確認しながら切ります。
5mm程度切り込んだら90度回転させて次の面を同じように切り込みます。
始めに切り込んだ面の切り口をガイドにして墨線の上を切っていきます。
これを繰返して中心に切り進んでいきましょう。
4面の墨線に沿って中心へ切り込んでいくので、大きく傾いて切ってしまという失敗は少ないです。
完璧な直角とはなかなか難しいですが、少し練習すればDIYで必要な精度は十分に出せると思います。
座面などの比較的精度がいらない板材(横方向に切る)
座板の寸法切りの様に断面を接合しない場合は、それほど精度が必要な場所ではないので1面の墨線のみで切ります。
墨線は必要な寸法位置にスコヤを使って墨線を引きます。
木材の繊維方向に対して直角に切る場合はノコギリの横挽き用の刃を使います。
今回は1方向から切っていくので、材は作業台にクランプで固定して作業します。
材を固定する事で安定して正確に切ることができます。
先ほどの角材の時と同じように、ひき口を付けてから行います。
板の奥側から手前に墨線を確認しながら切り進みます。
この時、刃が左右に傾いていないか意識しましょう。
ノコギリは刃の構造上、引く時に木材を切断しています。
その為、ノコギリは引く時に力を入れるようにすると効率良く切ることができます。
真っすぐ後ろに引く事を意識して切る事で墨線からズレにくくなります。
板材の幅を変える(縦方向に切る)
部材の幅を変えなければならないというのは、座面や天板を作る時などに起こります。
複数枚の板材を使って作る場合、並べてきっちり目標の寸法になる場合は稀です。
そのような場合、どれか1枚の幅を小さくすることで調整しなくてはいけません。
このように木の繊維に対して縦方向に木材を切る場合は縦挽き用の刃で切ります。
縦挽きの場合も作業台にクランプで固定します。
必要な幅に墨線を引いたら板材の切り方と同じ要領で切っていきます。
幅を変える時は切断距離が長くなる場合が多く、けっこう大変です。
一気に切り進みたいところですが無理をせずゆっくり慎重に切っていきましょう。
物作りの際、この縦挽きでの幅調整が多くなると作業が大変になります。
作るもの考える時に、木材の幅寸法を変えなくてもいいように設計しておくの1つの方法です。
今回はフリーハンドで木材を切る方法を説明しました。
フリーハンドで、ある程度正確に木材を切れるようになっておくと、ちょっとした切断加工の際に効率良く作業を行えます。
また基本の動作が身に付いている事で、治具を使うときにも精度が出しやすくなります。
ぜひ練習してみてくださいね。
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